僕は映画狂、というより、映画を語りたい今日

もしかすると、映画そのものよりも映画館の暗闇のほうが好きかもしれない。

2015-01-01から1年間の記事一覧

そのカナシミ、必要ですか。(「インサイドヘッド」の感想)

製作する映画がすべて面白いピクサー。あまりの打率の高さに、ちょっとした恐怖すら感じる。一体どういうシステムで映画を作り出しているのだろう。なんだか催眠術にかけられているようである。 風変りな主人公である。言ってみれば、感情が主人公である。…

怠けものだけが映画を観る。(年末の挨拶)

「なぜ映画を観るのか」という問いがあるとして、それに対して答えるのには、ある種の「自分語り」をするしかない。なぜなら映画を観る必要なんてないからだ。何の生産性もなければ、何の教訓もない。だから、真面目な顔で「なぜ映画を観るのか」と言われた…

「スターウォーズ/フォースの覚醒」への批判を読む。【スターウォーズ祭り開催中】

「フォースの覚醒」は、レビューもさすがにお祭り騒ぎである。いやぁ面白かったもんなー。僕自身の感想は以下のエントリーに書いたのだけれど、一言でまとめると、「最高に楽しいが、革新的ではない」。スターウォーズの続編にとって、これは仕方がないこと…

ヘタレ男たらけのスターウォーズ(フォースの覚醒)【スターウォーズ祭り開催中】

盛大にネタバレしているので、隠しますね。本文は「続きを読む」から。ネタバレなしのエントリーは以下を見て頂ければ嬉しいです。 uselesslessons.hatenablog.com

「スターウォーズ/フォースの覚醒」を批判する。期待通り過ぎて期待外れ 【スターウォーズ祭り開催中】(ネタバレなし)

なんということだ。涙を流して批判を開始しなければならない。なんなんだこれは! 面白すぎるではないか。 「ファンって、こういうのが観たいんでしょ」が詰まった2時間。 エピソード4~6の「ルーク三部作」の正統な後継者としてのプライドと堂々たる風…

スターウォーズはなぜ面白いか。最終回答(後編)~フォースと共にあらんことを!~【スターウォーズ祭り開催中】

作日のエントリー(前編)のまとめ。 スターウォーズの魅力を表すために、この一言で十分なのかもしれない。 「なんて広い映画なんだろう!?」 uselesslessons.hatenablog.com ******** 実は別方面からほとんど同じことを主張してくれている本があ…

スターウォーズはなぜ面白いか。最終回答(前編) 【スターウォーズ祭り開催中】

「スターウォーズはなぜ面白いのか」という問いに対する答えを求めて、関連本などを漁りながら、幾つかのことを書いてきたけれど、その最終回(前編)。これが終われば、いよいよ「フォースの覚醒」へと進みたいと思う。 さて、「スターウォーズはなぜ面白い…

イノベーションとしてのスターウォーズ~「神話構造=ちゃんこ鍋」仮説~【スターウォーズ祭り開催中】

スターウォーズ関係で一番重い本。 スター・ウォーズはいかにして宇宙を征服したのか 作者: クリス・テイラー,児島修 出版社/メーカー: パブラボ 発売日: 2015/11/11 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (1件) を見る 全部で968ページもある本書は、時…

なぜ面白いか、その答えは・・・【スターウォーズ祭り開催中】

本書はまさに、当ブログに打ってつけの本である。「スターウォーズはなぜ面白いのか」という当ブログが探求している問いを、本書もまた同様に問うている。しかも、筆者はこの問いを30年間も考え続けてきたらしい(僕は3週間である)。 スター・ウォーズ論(…

スターウォーズの普遍性?~「スターウォーズ論」から~ 【スターウォーズ祭り開催中】

早いものですね。もうやってきました。今日が公開初日!! これほど他の人の感想が楽しみだったことはない。親しい人の中にも初回上映を観に行く人がいるので、すぐに感想にありつけるだろう。ああ待ちきれぬ! 僕自身が観られるのは少し先になりそうなので…

えっ!? ジャー・ジャー・ピンクスのモデルって、あのキャラなの!?【スターウォーズ祭り開催中】

本の内容を紹介する前に・・・。 驚き、そして納得した。 ジャー・ジャー・ピンクス(上写真)の造形には、あのキャラクターが関係していた、とのこと。この本からの引用。 スター・ウォーズ学 (新潮新書) 作者: 清水節","柴尾英令 出版社/メーカー: 新潮社 …

エピソード7を観たルーカスの感想が意味深。【スターウォーズ祭り開催中】

この記事は面白かった。ジョージ・ルーカスは、エピソード7を観た後に、「ファンは気に入るだろう」と言っている。 “I think the fans are going to love it. It’s very much the kind of movie they’ve been looking for.” www.blastr.com 同記事でも強調…

【スターウォーズ祭り開催中】どっちのスター・ウォーズ【本の感想】

本屋もスターウォーズ祭りである。関連本がずらりと並んでいる。 今回は全く感想にはなっていないけれど、とりあえず雑感を。 どっちのスター・ウォーズ 作者: 立田敦子,河原一久,水分農場組合 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 2015/11/07 メディア: …

【アベンジャーズ/エイジオブウルトロン】他blog記事をちょっと遠回りに紹介 【ネット感想見聞録】

映画ブログを書くようになって、他の人の映画ブログにも興味が出てきた。実際に書いて分かったことだが、映画の批判を書くのはけっこう簡単である。ある基準を提示し、それに適合していないことを示すだけでいい。あるいは、一言「面白くなかった」、これだ…

【アベンジャーズ/エイジオブウルトロン】細かいことは抜きにして、とにかくワーワー楽しむ映画【感想】

【一言まとめ】まさかのホークアイが、かっこいいのです。いつものメンバーのいつものアクションが注文通りなのです。 まさかホークアイがこんなにかっこいいとは思っていなかった。怪物に神さま、鉄鎧の天才物理学者に氷漬けから蘇ったおじいちゃん(超健康…

【スターウォーズ祭り開催中】記事まとめ② スターウォーズがスターウォーズになる前。

◆黒澤明の影響 スターウォーズを作ったジョージ・ルーカスが、黒澤明に影響を受けているという話はよく聞くのだが、その辺りを簡単に説明してくれた動画。 How are Samurai Films Responsible for Star Wars?!? - Film School'd ジェダイは時代劇の「時代」…

【スターウォーズ祭り開催中】 宇宙の巨大な実在感? 【なぜ人はSWに惹かれるのか】

スターウォーズは、アナキン・スカイウォーカーの一生だ、と要約することもできる。彼は幼いころ天才的なジェダイとしてその才能を見いだされ、やがて一国の元女王に恋をして、嫉妬のあまり疑心暗鬼になって、全銀河の運命を変えるほどの大きな過ちを犯す。…

【スターウォーズ祭り開催中】記事まとめ①おもにスターウォーズ入門

スターウォーズ解説ものを集めてみた。分かりやすかったものを抜粋。 <軽くストーリーを知っておきたい人へ> ◆「『超誤訳シリーズ』90秒でスターウォーズを解説」 スターウォーズの解説がわかりにくい理由のひとつに、あまりにも多くの固有名詞があると…

スターウォーズ祭り開催宣言

祭りがやって来る。スターウォーズ祭りが。 ◆スターウォーズ祭り開催宣言~「どうしてスターウォーズは人を惹きつけるのか」を問う~ スターウォーズは、言うまでもないことだが、ものすごく人を惹きつける。GOOGLE先生に訊ねてみれば、たちどころにそれがわ…

【ハミングバード】罪悪感に押しつぶされた二つの人生。彼らのひと夏の恋。【感想】

【一言まとめ】罪悪感に苦しむ2人の男女が落ちるひと夏の恋。彼らが下す正反対の決断。切ない映画です。 基本的に、アクション映画には「思考停止」を求めている。どかどか殴り合い、ばんばん撃ちあっているシーンが、意識を麻痺させてくれる。自動思考に強…

【ハッピーエンドの選び方】「私は死にたい」と「貴方に死んでほしくない」を描いた物語【感想】(現在公開中映画)

【一言まとめ】安楽死*1をユーモラスな場面も交えて描いた映画です。気楽には観られませんが、「こういうのも『あり』なのかもしれない」ときっと思えます。 ※(いつも通り)盛大にネタバレしております。本作をご覧になる予定の方は読まないことをお勧めい…

【チャッピー】この心を、あの機械に転送してください【感想】

【一言コメント】数百年間にわたり哲学者を悩ませてきた問題に対し、一瞬で結論を出してしまう大胆不敵かつ荒唐無稽な映画です。 人間のように学習していくAIが搭載されたロボット・チャッピーが成長する物語。特徴的なのは、育てるのがギャングだという点…

【ヒアアフター】「死後の世界」を媒介にして、回復する生たち【感想】

【一言まとめ】人生ってどうしようもないこともあるよね、でもそれでもいいことあるよ、と言ってくれる優しい映画です。 クリント・イーストウッド監督らしい、いぶし銀のような映画。「死後の世界」(=ヒアアフター)を巡って交錯する3人の物語。前半は、…

【RED】おじいちゃんも闘う時代【感想】

【KeyWord】闘うおじいちゃん、おじいちゃんのキャラ設定、爽やかな老年、波平への苦言 ついに、おじいちゃんも闘う時代がやって来た。といっても、今やってきたわけではなく、振り返ると、結構前から、おじいちゃんは闘っていたのだった。例えば、「大脱出…

【エール】歌がこちらに迫ってくる=歌が特別なものになるメカニズム。【感想】(現在公開中映画)

【KeyWord】聴覚障害、視点の移動、特別な歌が特別な理由 前半と後半で大きな視点の移動があり、それがこの映画の大きな美点になっていると感じた。それまで美しい歌声が響き渡っていた世界が、とつぜん無音になった瞬間、逆説的にその歌声を受け止めるひと…

【怪盗グルーのミニオン危機一発】「ミニオンズを救ってくれ、怪盗グルー」とはじめてグルーを応援【感想】

※危機一「発」は誤字ではありません! 【KeyWord】コミカル・バナナ、モジャモジャ・ナスビ、全く悪くない怪盗、見た目が9割 ショックだ…。許せぬ。本作に登場するエル・マッチョなる悪党は、コミカル・バナナことミニオンズ(↑写真の黄色いのです)を利用し…

【怪盗グルーの月泥棒】コミカル・バナナことミニオンズの大活躍!ついでに怪盗グルーも【感想】

【KeyWord】月を盗む、現実感がないなりの現実感、コミカル・バナナ、愛を知る エリック・カールという絵本作家に「パパ、お月さまとって」という絵本があり、その題名の通り、娘にせがまれた父が、お月さまを取りに行く話である。幼いころ好きでよく読んだ…

【ジョン・ウィック】とりあえずキアヌ・リーヴスが怒り狂っています【感想】(現在公開中)

【KeyWord】キアヌ・リーヴス、犬と車、マフィア壊滅の理由、男性の自尊心 問題です。 「○○くらい、犬と車が好き!」。 さて、○○に入る言葉は何でしょう。 →<答え> ロシアン・マフィアを壊滅させる(くらい) 愛の深さを表す言葉は数あれど、それがロシア…

【エド・ウッド】史上最低の映画監督の愛すべき一生【感想】

【KeyWord】エド・ウッド、史上最低の映画監督、下手の横好き、映画製作とは何か ユーモラスなトーンで描かれた作品だが、涙なしには見ることができない。何かを表現しようとしている人は、自分とエド・ウッドを重ねること間違いなし。エド・ウッドとは、史…

【ミッション・インポッシブル/ローグ・ネイション】トム・クルーズ化するMIシリーズ【感想】

【KeyWord】トム・クルーズ、変態紳士的な笑顔、エンターテイメントの土壌、ほとんど完全なトム・クルーズ化 「ミッション・インポッシブル」シリーズは回を追うごとに、なんだかトム・クルーズ化しているような気がする。僕が知る限り、トム・クルーズがト…