僕は映画狂、というより、映画を語りたい今日

もしかすると、映画そのものよりも映画館の暗闇のほうが好きかもしれない。

【アベンジャーズ/エイジオブウルトロン】細かいことは抜きにして、とにかくワーワー楽しむ映画【感想】

【一言まとめ】まさかのホークアイが、かっこいいのです。いつものメンバーのいつものアクションが注文通りなのです。

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 まさかホークアイがこんなにかっこいいとは思っていなかった。怪物に神さま、鉄鎧の天才物理学者に氷漬けから蘇ったおじいちゃん(超健康体)、と常人離れしていることが当たり前のアベンジャーズにおいて、ホークアイはほとんど唯一の常人である。『アベンジャーズ1』でマインドコントロールによって敵に寝返ったときは、誰もが「ああ、やっぱりなあ」とため息をついたはずだ。組織は弱いところから崩れる。どうして一般人がアベンジャーズにいるんだ、と。

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 そんな「イケてないヒーロー」の筆頭だったホークアイが、アベンジャーズの一員として、というよりも、この一瞬だけはアベンジャーズを背負って、アベンジャーズの仕事を語る。相手は超能力者で、おそらく戦闘能力だけでいうと「ホークアイ5人程度」なら瞬殺できるほどの力量を持つが、それでもホークアイ兄さんは、優しく諭すのである。

「なんてことを。私たちのせい!」

「俺を見ろ。今さらどうでもいい。大丈夫か?」

 超能力ウーマンを気遣うホークアイ。ここから一方的にまくしたてる。これがホークアイの仕事論、そして「This is アベンジャーズの仕事!」である。

「闘えるか。どうだ? いいか? 街が宙に浮いている。街が宙に浮き、敵はロボット。おれの武器は弓。笑えるだろ? でも戦うのが仕事だ。子守をしている暇はない。君たちが何者でも関係ない。でも外に出たら闘え。残るなら誰かをよこす。でも一歩外に出たら、君はアベンジャーズだ」

 そう、アベンジャーズ最弱疑惑のホークアイは、自分自身の力量不足を痛感しながら、ずっと戦ってきたのだ。そして今、その自負心のみを頼りにして、戦闘力が遥か上の相手に向かって「子守りはしない」などと叱咤激励をしている。カッコいいではないか。謝罪しなければならぬ。ホークアイさん、貴方のことを、「脇役中の脇役」とか「弓だけとか弱すぎだろ」なんて思っていて、すみませんでした。ぼくもこの台詞を見習い、つぎに会社で誰かが弱っているときに、このように言ってみよう。

「いいか? 契約は消滅し、敵は上司。俺は平社員。笑えるだろ? でも戦うのが仕事だ」

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 このようにして株を上げたホークアイだが、もっと株を上げた者もいる。ジャービスである。アイアンマンことトニースタークの助手AIとしてこれまで活躍してきたのだが、ついに本作で肉体を得る。色合いがどこかウルトラマンに似ている。敵はウルトロン、彼はウルトラマン。ややこしい。しかし、ウルトロンとウルトラマンが衝突すれば、それはもちろんウルトラマンの勝ちでしょう。正直に言うと、彼が肉体を得たことによる物語上のメリットが全く分かっていないのだが、そんなことはどうでもいい。あの愛すべきジャービスが、ウルトラマンになったことに祝杯を上げよう。乾杯。もうAIっぽい口調を聞けないと思うと、少し残念だけどね。

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 今回特に思ったことだが、アベンジャーズは何よりもまず、キャラクターを好きになることが楽しむ条件である。というより、そうでなければ、彼らのドンチャン騒ぎを、「自業自得だろう」と切り捨てることになる。

 アイアンマンはもとから好きだし、ハルクも「るろうに剣心」の剣心のような裏表のギャップがいい。彼らふたりによる「いいパンチ」は、本作で最もテンションが上がった場面のひとつだった。

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 ブラックウィドーはスカーレット・ヨハンソンが演じている時点でオールOKだが、それを考慮しなくても、常人レベル最強の戦闘能力がありながら、向こう見ずで寂しそうなところがいい。キャプテンアメリカはまれに見るナイスガイで、縦横無尽の楯アクションが素晴らしい。雷神のソーはそれほど好きではないけれど、ハンマーをぶんぶん振り回して飛ぶ違和感も薄れてきたので、もしかしたらいずれ好きになるかもしれない。そして今回で急に身近なものになったホークアイに、ウルトラマンと化したジャービス。初登場の魔性の女ことワンダはマインドコントロールだけかと思ったら、後半になって波動拳を使い始めた。どういう能力か全然わからないけれど、カッコいいからいいでしょう。ということで、細かい点は抜きにして、とにかく楽しい映画でした。

 (監督:ジョス・ウェドン アメリカ 2015年)