僕は映画狂、というより、映画を語りたい今日

もしかすると、映画そのものよりも映画館の暗闇のほうが好きかもしれない。

観客を置き去りにする転身ぶり(映画『フルスロットル』の感想)

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 題名には見覚えがないはずなのに、序盤でオチまでわかってしまって、自分スゲー、となっていたのだけれど、あの超人アクション映画『アルティメット』のリメイクだった。まあ、ほとんど忘れていたので存分に楽しめたけれど・・・。

 無重力アクション、と銘打たれているのだが、「無重力」度合は元祖のほうが上である(たぶん)。『アルティメット』を見たときは軽業師のようなアクロバティックな身のこなしに随分と感動したが、今回はそれほど珍しいと感じなかった。アクション映画のレベル自体が上がって目が慣れてしまったのかもしれない。

 見どころは、「観客を置き去りにする転身ぶり」である。一つ目は主役2人の「転身ぶり」。いわゆる「バディもの」の定番で、主役のふたりは仲が悪いところからスタートするのだが、どこで和解したのかわからないくらい、仲良しになるペースがはやい。えっと・・・、そのぉ・・・、人ってそんなに簡単に分かり合えたっけ?

 だが主役2人の「転身ぶり」も、悪役の大将に比べたらまだ甘いものである。序盤と終盤でこれほどまで位置づけが変わる登場人物も珍しいのではないか。地球を侵略しに来たバルタン星人がいつの間にか正義の味方になって地球を守っている。それもただ守るだけではない。ウルトラマンと肩を組んで闘うのみながらず、国連事務総長になって世界平和を実現しようとする、みたいな感じ。ラストではしっかりとヒーロー顔になっている。バルタンさん、序盤で無差別殺人をしていたんだけど大丈夫かなー。

 映画を見るたびに、こうした「荒唐無稽さ」が好きになってくる。出来のいい映画もいいけれど、出来の悪い映画(失礼!)もいい。隙があるのは、娯楽にとって必ずしもマイナスにあらず。この映画がそうだとは思わないけれど、唯一無二の欠点を持つ、というのも逆説的に長所になるだろう。

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